少女リムはそのとても広く白い部屋の丁度真ん中に床の固ささえ気にせず寝そべっているのだ。 その白く長い足は自分の持ち主が可憐な、それもこの国でもなかなかいない美少女と言うことを忘れてしまっているかのように、恥ずかしげも無くそのスカートから真っ…
夏が過ぎ少し肌寒くなってきた今日この頃、俺は幼馴染の薫と町を歩いていた。 新作の映画が好評だというので一緒に見ようとの事。 おいおい、そういうのは彼氏といけよと言っては見たものの、内心ちょっとうれしかったり。しぶしぶついていく振りしながら心…
僕はどこにいるんだっけ。 あ、今僕はパソコンで文章を書いているんだ。 別に書きたいものがあるわけでもなく、ただ。 ただ、なんだっけ? 思い出せない。 僕は何でこんなところにいるんだろう。 煙草に火をつける。 いい煙だなぁ。 煙を吐き出してみる。 な…
いつもと変わらない朝の登校道。 僕はあくび甚だしく。 重い足を引きずっていつものように何をするわけでもなく学校へ向かう。 行きかう人たちの姿に、その人たちがこれから何をするのかなどを予想しつつ。 あの女子中学生かわいいな、などとこの生活に潤い…
作者もこの発想を思いついたときは陳腐だと思ったものだが。 最初に。 この小説は題名の通り痛々しいものにはならない。 主人公となるであろう人物も辛く痛くとしょっちゅう腕を切っているわけではないと明記しておく。 そもそも彼はあまりにもあっけらかん…
痛い痛い。 何よりも気持ちが痛い。 私という生物が感情を伴っているという事が。 その上、こんなにも欲望や危険や生命を感じてしまう事が。 苦しみぬくという事が、何かしらの結果を生むことだと信じていた事が。 命の尊さよ。 愛情の温もりよ。 飯を平らげ…
世の中に吐いて捨てるほどいるこの今の地球で、自分の理想に見合った人を見つけることは酷く困難だ。 ましてや生き抜く事ですら恐ろしい。 甘えが充満している。 事実に硬直している。 それを考えると僕は、まぎれもなくここで、途方もないくらい幸せだ。 幸…
僕がパソコンでいつものように作業をしている時の話。 僕はパソコンをしている時、いつも部屋全体の照明は消している。 それが目に悪い事は確かに分かっている。しかし、一人暮らしのために電気代が少し気になるのとディスプレイからの光だけのほうがなんだ…
第三十七次世界大戦。 今回の戦争の何よりの特徴は、酷くどうでもいい理由で戦争をしているわけではないことである。 人間はもはや何もかもやり遂げてしまった。 ありとあらゆる社会問題もついに科学や技術により大きな統一を果たした。 全て人間の意志を取…
自分という人間を理解されないことが一体どれほどの重圧になるというのか。 部屋は酷く散乱している。 昨日食べたスナックの袋は油にまみれて光っている。 ゴミのように故人たちの小説が詰まれている。 しかしそれらを片付ける気力は私にはない。 それは一つ…
空が真っ赤に染まっている。あたりは既視感が漂う見知らぬ路地。 濡れている髪がさっきまでの出来事が嘘ではないことを語っている。 私はどうやら迷い込んでしまったようだ。 「優しい世界」 噂だけは聞いたことがある。 辛いことや絶望によって救済を求めて…